網野善彦氏、死去

http://www.asahi.com/obituaries/update/0227/003.html

朝、新聞を読んでビックリしました。まだ76歳なのに。惜しまれます。ちゃんと読んだのは『無縁・公界・楽』くらいですが。社会史は、字のごとく社会学と近いので、ゼミの指導教官が何度か言及していたのを覚えてます。

この列島には、封建制度に絡め取られない、多様な暮らしがあった。それを明らかにしていったのが、この網野氏をはじめとする社会史の人ですね。民俗学でいうと、宮本常一の『忘れられた日本人』なんかもこれに通じています。

従来のイメージや定説を覆す、というのは歴史や社会学の重要な役目だと思います。それによって現代を相対化し、社会をより良いものへ変えていける。当たり前だと思っていることが、時代や場所が変われば決してそうではない。人々の心にも歴史はある。だから、常識や定説を疑ってみることが必要なのです。

最近、歴史小説について考えることがありました。大きく2種類に分けられそうです。一つは、過去を舞台にして現代を語るもの。もう一つは、異世界としての過去を描くもの。同じ新選組でも、今の大河ドラマは前者で、渡辺多恵子の『風光る』は後者かと。もちろん、僕が好きなのは後者の方。『新選組!』も面白いと思いますけど。

少し前に、歴史小説家がこんなことを言っていました。歴史学の進歩はめざましいから、まだまだ書くネタには困らない、と。学者頼みかよ、とも思いますが(笑) まだまだ、歴史の中から新しい世界を見てみたい、と切に願います。合掌。